MORYO通信 ~Urbs Communication~

本を読んで勝手にいろいろ言います

麺屋舞元 いざ尋常に、拉麺勝負! 『かいけつゾロリ あついぜ! ラーメンたいけつ 著 原ゆたか』

ラーメンはなぜこれほどまでに人を惹きつけるのか。

20世紀はじめに本格的に日本に渡ってきてからというもの、著しい成長を見せてさまざまな発展を遂げてきた。中華料理から独立して日本食の一つとして数えられるようになったラーメンは、もはや日本人のソウルフードと言っても差し支えないだろう。

 

さて、ラーメンと言えば、にじさんじ所属舞元啓介氏の配信、「麺屋舞元」が思い浮かぶ。


【月一】麺屋舞元 #1【飯テロ】

こちらは明星食品が開発にかかわっている「チャルメラ」というゲームをプレイしていくという内容になっている。月に1回というペースで深夜に行われており、時間帯も相まって空腹を誘うと評判である。舞元氏によれば、お酒を呑みながら楽しんでいただければとのこと。

 

チャルメラ」というゲームについて少し説明させていただくと、ラーメンを売りながら町の人々との交流を深め、徐々に食材や調味料を集めていき、至高の一杯を作りあげようというようなものになっている。食材やダシ、調味料の種類はかなり多く、多様な組み合わせができるのが大きな特徴だろう。

 

そのゲーム性を活かして行われているのが、舞元氏とリスナーのラーメン作り対決だ。配信時間の大半はこのラーメン対決に使われており、この部分を楽しみにしている方も多いかと思う。

対決とはどのようなものかというと、チャット欄にいるリスナーから一人を指名して、使うダシや具材を書き込んでもらい、舞元氏がそれをもとにチャルメラ内でラーメンを作る。それに対して舞元氏も自身の感性でラーメンを作り上げ、ゲーム内評価でその完成度を競う、というものだ。

ここからいくつもの名勝負や名ラーメンが生まれたのだが、その対決ははじめから予定されていたものではなかった。はじめ舞元氏は対決とは言わず、皆さんと一緒にラーメンを作ろうと言っている。ではなぜ対戦形式になったのか? それは第一回の「麺屋舞元」を見れば明らかである。

 

第一回で舞元氏は手始めに醤油ラーメンを作り、そちらはまあまあの評価であった。しかし、次の一杯が問題であった。「絶対旨い!」と意気込んで作ったラーメン、「舞元魚介スペシウム」のゲーム内評価が最低の☆1つだったのだ。

それにショックを受け傷心の舞元氏は、「じゃあリスナーに一度作らせてみよう」と言って目についたリスナーたちにラーメンを作らせた。そうして生まれたのが「コウロギサンダーメン(二人のリスナーによって作られ、その名前を組み合わせた名前)」である。こちらのゲーム内評価はなんと☆9。最高評価が☆10であることを考えると相当高い評価であり、回が進んだ現在でもこれほどの評価が出ることは稀である。

いつぞやのラグビーW杯ニュージーランド代表対日本代表戦のような歴史的惨敗であった。「お前らに飯テロをしてやる」「お前らの好きなように作らせてやる」という高圧的な態度を取った舞元氏に相応しい最期と言える。

 

しかし、この惨敗は舞元氏にとって非常に幸福なことだっと言ってもいいだろう。これ以来このラーメン勝負を軸とした「麺屋舞元」は舞元氏を支えるメインコンテンツの一つとなり、この二つのラーメンは後世に語り継がれていくこととなった。また、よみうりランドでのコラボイベントでは「舞元魚介スペシウム」が完全再現されるまでに至る。さらに兼ねてよりファンだと公言していた電脳少女シロ氏にもこちらの配信が伝わっていたようで、それを知った際には「恐悦至極です」と言って昇天していた。

 

他配信と比べてリスナーとの距離も近い「麺屋舞元」。ラジオ等の活躍によってファン数も増えてきた舞元氏であるが、これからもこういった配信を大切にしていっていただきたいと思う。

 

 

さて、このラーメン対決だが、私ははじめ見た時から妙な既視感があった。その既視感を辿ってみると、ある一冊の児童書にたどり着く。

言わずと知れた児童書シリーズ『かいけつゾロリ』の30作目、原ゆたか著『かいけつゾロリ あついぜ! ラーメンたいけつ』である。

ある町で、「つるつる軒」と「カメカメ亭」というラーメン屋が向かい合って営業していた。カメカメ亭は麺は美味いがスープは微妙。つるつる軒はスープは美味いが麺は微妙な店であった。お互いにライバル意識を持つこの二軒に、ラーメン屋があると噂を聞きつけたゾロリがやってくる。ゾロリはラーメン王なる人物に変装し、この二軒を互いに競い合わせていく。

 

こちらの作品は『かいけつゾロリ』の中でも屈指の名作の一つであろう。ゾロリが主導した結果奇抜なラーメンが作られたシーンを幼少期に見たことのある方も多いのではないだろうか。

「麺屋舞元」でも奇抜なラーメンは度々登場する(チョコレートを入りラーメンなど)のだが、やはりその強烈なビジュアルを見るとあまり食べたいとは思えない。その点、原ゆたか氏の描くラーメンはどれも奇抜なものであるにも関わらずなぜか興味が惹かれるものばかりだ。チョコレート入りのラーメンは本作でも登場するのだが、そのビジュアルだけ見てみると一度は食べてみたいという気持ちに襲われる。

 

ほかにも美味しそうとは言えないものの童心をくすぐるラーメンが多数登場する本作。麺屋舞元で作られる奇抜なラーメンが好きな方ならばきっと楽しめる一冊になっているはずだ。

また、二軒のラーメン屋をめちゃくちゃにしていったゾロリは最終的にどうなるのか……というところにも注目である。

 

 

最後になるが、舞元氏を知ってはいるものの「麺屋舞元」は未視聴であるという方は、ぜひ配信アーカイブを見ていただければと思う。それぞれの回はやや長いが、それこそ舞元氏の言う通り酒のアテにしてゆっくり楽しんでみてはいかがだろうか。

そうして配信を見ていくうちに、やがて配信の魅力に取りつかれ、チャルメラのメロディーを聴くのが待ち遠しくなるはずだ。きっと見終わった後にはこう呟くに違いない。

 

また来よう……。

 

ドレミ~レド ドレミレドレ~

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