セフィラ・スゥに学ぶ占星術　『占星術殺人事件　著島田荘司』

私はかに座である。

あまり占いに頓着しない方なので、いつぞやのTwitterトレンドに「かに座1位」が上ったことで初めてかに座が占いでは比較的アンラッキーな位置にいることを知り、せっかくの1位なのにモヤモヤした気分になった。

幼少期に見ていたベイブレードでもかに座のキャラはあんまりかっこよくなくて、我ながら不遇な星のもとに生まれてきてしまったのだなと思う。

しかし、たとえ星占いで運勢が悪かったとしても、ほかの占いを見てみると良い結果が出るということはよくある。

それだけこの世には占いというものが多いのだ。血液型占い、タロット占い、ルーン占い、御御籤、東洋占星術……などなど、とにかく人間は占いというものが好きらしく、今もなお新しい占術が次々と生み出されている。

その中でも、特に数秘術を得意とし、占い師として活動を行っているバーチャルYouTuberがいる。

セフィラ・スゥ氏だ。

セフィラ氏は株式会社シーエー・モバイルが運営する占いサービスCAMFORTUNEからデビューしたプロの占い師で、Fortuneの頭文字であるFとVtuberを組み合わせた「Ftuber」として、「バーチャル」×「占い」という新機軸の活動を行なっている。

普段はゲーム配信のほか、占い師らしく占い講座や即興占いを交えた相談配信などを中心に活動している。今年のはじめに行った「VTuber最強運番付」では実に133名ものVtuberの運勢を占った。

【#VTuber最強運番付】2020年最強の運を持っているのは…【第173回せふぃらいぶ_占い師VTuber】

こちらでは星占いと数秘術を組み合わせて各Vtuberの運勢を割り出しており、その労力たるや想像を絶するものがある（もっとも、占いに慣れている人ならばそうではないのかもしれないが）。

なお当配信の翌日には、2020年の12星座運勢ランキングを動画にして発表している。

今年もまだ半年以上残っているので、今からでも確認して遅くはないだろう。なお、かに座は……言うまでもない。

さて、占いといえば探偵かつ占星術師である御手洗潔を主人公に据えた作品、島田荘司著『占星術殺人事件』を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。

本格ミステリとしての評価の高さは著しく、国内ミステリの最高傑作と言っても過言ではない。少しでもミステリに興味があるという方には、100パーセントおすすめの一冊である。

本作はとある芸術家の手記から始まる。その内容は、複数の処女から体の一部を切り取り、それらを合成することで完璧なアゾートを作るというものであった。しかし芸術家は密室で殺されてしまっていて、その手記というのは同時に彼の遺書でもあった。その後、6人の若い姉妹が殺害され、その遺体はそれぞれ体の一部が欠損された状態で発見された……。

この作品はページ数がものすごく多いわけではなく、トリックもそこまで難解なものであるとは思わないのだが、読み進めていくうちに解決に近づいていくどころかむしろ混迷を極めていくような作風になっている。それが本作の大きな魅力であるといえよう。また、探偵役の御手洗と助手役の石岡のコミカルな掛け合いも見ていて楽しい。

ただ、冒頭の手記の内容が強烈で、ライトな読者層の方はここで読むことを諦めてしまう方もいるのではないかと思う。西洋占星術の小難しい単語が所せましと並べられていて、なかなか読み進めるのに時間がかかる。私は中学生の時分にこの作品を手に取ったのだが、この冒頭20ページくらいで1週間ほど使ったような覚えがある。

しかし、本作は本当にド名作である。なかなかこれ以上の感動を得られるミステリは少ない。冒頭部分だけで読むことを辞めてしまうというのは少しばかり、いや大いに勿体がない。そんなときに占星術について教えてくれる人がいればもっと読み進めやすいのだが……。

そう、そんなときのセフィラ氏の占い講座である。

【占い講座】新占術！西洋占星術を学んでいるの巻【第109回せふぃらいぶ_占い師VTuber】