MORYO通信 ~Urbs Communication~

本を読んで勝手にいろいろ言います

舞鶴よかと そうだ 博多、行こう 『博多学 著 岩中祥史』

生来、私は旅行と縁遠い人間で、修学旅行を除いてほとんど関東圏から出ない暮らしをしていた。そんな私に地方在住の友人から「こっちに遊びに来ないか?」と連絡があったのは、大学受験が終わり果てしない暇ができた高校3年生の冬のことだった。

そこは関東から結構な距離があるので、往復の交通費はそこそこかかる。ただ、彼の家に泊まるから宿泊代はかからない。当時バイトで貯めた貯金にも余裕があったこともあり、少し悩んだのち、私は卒業旅行も兼ねて友人の住む地方へ向かうことにした。

出発の前夜、旅行鞄に着替えを詰めながら期待を膨らませる。ネオンの光、大きな川、漂う豚骨スープの匂い……。そう、目指すは福岡。2泊3日の行程であった。

 

初日、朝イチの飛行機で福岡に到着した私は、一人で福岡ドーム王貞治ベースボールミュージアムへ向かった。その後友人と合流し、有名店で豚骨ラーメンを食べてから、大宰府天満宮へ参拝。天神で時間を潰してから、夜は中洲の屋台で夕食をとり、友人宅へ。

翌日は朝から大分県別府温泉へ向かった。この日は一日中温泉で過ごし、夜は福岡に戻ってもつ鍋を食べた。

最終日、午前中は友人宅でゆっくりした後、元祖長浜屋で昼食をとり、福岡空港へ向かう。お土産を物色し、空港内のパンケーキ屋で軽い食事をしたのち、友人と別れ飛行機で帰宅した。

 

結論から言うと、とてもいい旅行であった。こうして文章に起こしてみると淡泊に聞こえてしまうかもしれないが、それぞれ一つずつが私にとっては新鮮なものであり、大いに楽しむことができた。

大宰府で大吉を引いたこと(受験終わってんのに)や、長浜屋が『細かすぎて伝わらないモノマネ選手権』で見たまんまだったことなど、今でも鮮明に思い出せる。

高校最後の思い出として、このような体験をさせてくれた福岡には感謝の思いである。

 

 

さて、長々と自分語りをしてしまったが、この福岡を拠点とし、主に福岡、天神、博多エリアを盛り上げるべく活動しているバーチャルYouTuberがいる。

舞鶴よかと氏だ。

 

バーチャル博多っ子として2018年8月から活動を開始して以来、現在に至るまで福岡の魅力を発信し続けている。

動画を見ていただければわかる通り、常にハイテンションでうるさい元気な姿を見せてくれるのが彼女の魅力であろう。


これが福岡のお好み焼きばい!!【どんどん亭×舞鶴よかと】

彼女は自らのチャンネルでゲーム配信などを行うほか、Vtuberとしては珍しい食レポ動画をアップしている。実際の店舗によかと氏が赴いて実食するという、当時としては珍しい実写×Vtuberという構図の動画は一部で話題になった。

また、そういった活動が実り、九州Walkerとコラボして福岡の魅力を発信する動画もアップされている。そちらも併せて紹介しておこう。


フードコートに潜入取材!“MARK IS 福岡ももち”の人気店で食べてきた【九州よかとウォーカー】

とにかく福岡愛の強さではVtuber界ナンバーワンと言ってもいいよかと氏。今後の活躍にますますの期待がかかるVtuberの一人だ。

 

さて、そんなよかと氏が活動する福岡、特に博多についてもっと詳しくなりたいという方にお勧めしたいのが、岩中祥史著『博多学』である。

本書は博多について詳細な説明がされている、いわば博多の参考書である。

古くは古墳時代の歴史から博多の成り立ち、地理に始まり、地元グルメや娯楽文化、地域の人たちの人柄に至るまで、詳細に説明がなされている。これが一冊あれば博多で1年暮らすのと同じくらい、いやそれ以上に博多について知ることができると言ってもいいだろう。2002年出版ということもあり、現在とは少し差異のある部分もあると思われるので、その点についてはご了承いただきたい。

 

特にグルメに関しては、おきゅうと、ごまサバ、がめ煮といった全国区では名前がそこまで知られていないものや、焼き鳥、和風ドレッシングといった意外と知られていない名産品について解説されているのがうれしい。

もちろん明太子やラーメンについての記述もあるが、こちらはなんと誕生の歴史から説明がされており、それぞれの普及に努めたパイオニア的な会社、「ふくや」「一風堂」の社長にインタビューしたうえで書かれている。この解説のあまりの丁寧さには、この章だけでも読む価値があると言っていいのではないかとまで思ってしまう。

もちろん他の章もグルメと同じくらい丁寧な解説がされているので、そちらも隅々まで読んで損はないはずだ。

 

なお、著者はあとがきで「博多が好きすぎてやや褒めすぎた」と書いている。特にグルメや市民の人柄の部分に関しては主観的なものが多い印象があるが、それも著者の博多愛ゆえのこと。それに加え、きちんと博多のネガティブな部分にも触れているので、それでトントンともいえるのではないだろうか。まあ、それについてもフォローが入っていたりして、かなり贔屓目が入っていることは否めないが。

このように多分な博多愛に溢れている『博多学』、よかと氏のファンの方にはぜひ読んでいただきたい一冊である。

 

 

最後になるが、よかと氏は不定期に「バーチャル福岡観光」という配信を行っている。


バーチャル福岡観光!!!~博多駅明治通り経由福岡タワー~【月曜からよか生】

こちらはGoogle Earthを利用し、博多市内を主観目線で巡るという内容のものになっている。「ここから〇〇までは近い」「この通りのこの店によく行く」といった地元民ならではの発言が多く、実際によかと氏と博多市内を歩き回っている感覚で見ることができるのがこの配信の魅力だ。

Go Toなどの運動はあるものの、首都圏に住む人々の旅行が難しい昨今でこういった配信があるのはうれしい。そして、このコロナ禍が終息したあかつきには、この配信を見た多くの視聴者がこう思うに違いない。

そうだ。博多、行こう。

 

現在博多は観光客の減少で打撃を受けているという。特に屋台などは壊滅的な被害だと聞いている。しかし、無責任な言葉ではあるが、なんとかこの局面を耐え抜いて欲しいと強く思う。

よかと氏も過去にYoutubeアカウントを乗っ取られるという、活動の存続にかかわる危機があった。それでも、彼女とプロジェクトメンバーは諦めることなく新チャンネル(現在のメインチャンネル)を立ち上げて活動を根気強く続けて行き、最終的には初代チャンネルを奪還するに至った。

そんなよかと氏のように、博多も現在の危機的状況を乗り越え、再び以前のような活気を取り戻す日が来ることを信じよう。

Dear 博多。また逢う日まで

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