MORYO通信 ~Urbs Communication~

本を読んで勝手にいろいろ言います

2020-01-01から1ヶ月間の記事一覧

卯月コウ 13歳は、永遠だ。&Kimotional『4TEEN 著 石田衣良』『蹴りたい背中 著 綿矢りさ』

人生で一番楽しかったのって、いつだろう。 たぶん、それは中学生時代だ。小学校と比べて学区が広がり、知らなかった地域の友達ができて、知らない街に遊びに行けるようになった。 でも、それくらいなんだよな。高校生時代に比べると、行けるところも少なけ…

佐藤ホームズ S.Hホームズは探偵なのか? 『QED ベイカー街の問題 著 高田崇史』

私の文芸作品の目覚めはいつだったか。 それは元をただせば『かいけつゾロリ』とか『大どろぼうホッツェンプロッツ』なんだけれども、しっかりと小説と呼ばれるものを読んだのは、『探偵ガリレオ』だったように記憶している。 当時小学生だった私は、親がミ…

舞元啓介 スポーツとは、人生だ。『スローカーブを、もう一球 著 山際淳司』

私は横浜DeNAベイスタースのファンだ。 応援し始めたのは中畑政権の時。監督の全身を使った感情表現と、その大味な野球に私は魅了された。以降テレビやネットで試合観戦するのはもちろん、球場に足を運んで観戦することも多くなった。 野球のみならず、私は…

魔界の一般人シャレトン 「推さない」がゆえに「推される」ご当地人気 『天体戦士サンレッド 著 くぼたまこと』

誰でも自分の生まれ育った町には大なり小なり愛着というものが存在する。 それは田舎でも都会でも変わらない。東京生まれ東京育ち、悪そうな奴は大体友達……だとしても、ドラマや映画で身近な場所が登場すれば親近感を覚える。私も『シン・ゴジラ』で身近な場…

寒い夜、寒い小説、ないものねだり 『きっと君は泣く、ブルーもしくはブルー 著 山本文緒』

生まれてこの方暖房が苦手で、冬はもっぱら厚着をするだけで過ごしている。 北国暮らしではないのだが、夜や朝はやはり冷える。特に指先は相当冷たくなっていることが多い。でも、その冷え切った指先を、自らの体温で温めている瞬間、生きていると感じる。私…

ケリン 爆発オチの持つ魅力とは『檸檬 著 梶井基次郎』

爆発オチ、というのは誰が最初に始めたのだろうか。 数年前までのFNS27時間テレビではビートたけし扮する火薬田ドンが、一通りブラックジョークを読み上げたあと花火を打ち上げようとして失敗、爆発して黒コゲになってしまうネタを披露していた。お笑いの大…

百器徒然袋の二次創作についての雑記

京極夏彦先生の代表作である百鬼夜行シリーズは、『姑獲鳥の夏』『魍魎の匣』等の名作が揃っている。 そのスピンオフとして、奇想天外な探偵・榎木津礼二郎にフォーカスを当てた作品、『百器徒然袋』というシリーズがある。今現在『雨』と『風』の二つが既刊…

アンジュ・カトリーナ 童貞同士は引かれあう 『童貞 著 夢野久作』

本記事は夢野久作著『童貞』の、多大なネタバレを含んでいます。勝手ながら、ネタバレを不快に感じる方はブラウザバックしていただきますようお願い申し上げます。 「童貞」と聞くと、「野暮ったい見た目の、ダサい服を着た、オドオドしてるやつ」のイメージ…

御伽原江良と村上春樹について、私が文学教育に思うことについて 『夜中の汽笛について、あるいは物語の効用について 著 村上春樹』

御伽原江良、通称ギバラは、今やネットミームの一つともいえる人気を持つ、にじさんじ所属バーチャルライバーだ。 「我にじさんじぞ?」や「ゴミカスーーーーっ!!○ねェぇぇええええ!!!!」などの名言(?)を発信し、2019年のネット流行語100では82位に…

ニュイ・ソシエール 競馬はもう「おっさん」のものじゃない 『焦茶色のパステル 岡嶋二人』

競馬を見るのは好きだ。ウイニングポストも好きだ。特別に詳しいわけではないのだけど、人馬の絆と言おうか、人間と他種族が一緒になって頑張っている姿に胸を打たれる瞬間が多々ある。でも賭けるのも好きだ。お金も感動と同じくらい大事だからこれはしょう…

雨森小夜に感じる恐怖の正体 『幽談 著 京極夏彦』

初めて呪怨を見たとき、思わず笑ってしまった。 決して作品をバカにしているわけではないのだが、自分にはなぜだかコメディに写ってしまったのである。いわゆるジワジワ系のホラーを私は怖いと思えないのだ。傑作ホラーと名高い小野不由美先生の『残穢』もい…

轟京子に見る若さの輝き 『ロッキン・ホース・バレリーナ 著 大槻ケンヂ』

前回、ジョー・力一氏にハマっているということを書いたが、私にはもう一人積極的に配信を見ているバーチャルライバーがいる。 にじさんじ所属、轟京子。 彼女は服飾の専門学校に通っている女子大生で、同じ事務所に所属するバーチャルライバーのコーディネ…

にじロック、ジョー・力一のステージに見た悪夢 『パプリカ 著 筒井康隆』

最近、ジョー・力一(りきいち)というバーチャルYouTuberにハマっている。 彼にハマったいきさつや、彼に対しての私の感情については本題に関係ないので割愛させていただくが、とにかく面白さの詰まった人物であることは先に伝えておきたい。 力一氏は雑談…

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